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料理学校の生徒

★ 料理学校の生徒


こちらの高校は日本のそれとちょっと違う。
専門学校をイメージすると分かりやすいかもしれない。普通科というのが無いのだ。
(もしかしたらあるかも知れないけれど・・・)
高校の時点で自分の将来の職業を決め、それに特化した授業になるようだ。

このシステム。良い面もあれば悪い面もある。

早いうちから専門的な勉強をするので、若くしてプロになれる。
具体的にいおう。
料理を専門とする高校に進学する。
夏休みなどはレストランやホテルなどで働く。
高校は5年生だが、卒業できる頃には良い人材に育っていると思う。

従ってイタリアでは20台半ばと言えば、十分シェフとして雇ってもらえる。
去年いたヌマーナの店のシェフは25歳だった。
一緒に働いていた22歳(だったはず)のコックは、
近場でオープンする店のシェフとして働くことになり、そこの店を出た。

逆に悪い面としては、行ってみたけど自分に合わなかった場合だろう。
知り合いの17歳の男の子がまさにこれで、いつも悩んでいる。
詳しい話は省くが・・・家庭事情もあって、辞めたくても辞めれないらしい。
私がもし、日本で直ぐ店を出せるだけの技術と資金があれば、
出来ることなら日本に連れて行ってあげたいくらいだ。
そう思わざるを得ないほど、彼の身上話はかわいそうなのである。


さて。

この料理学校の生徒、評判が良い話を聞かない。
ヌマーナ、シラクーサ、そしてここと、3箇所ともにそういう生徒が居た。
(ここは現在も居る)
全てに共通して言えるのは、「使えない」。その一言に尽きる。
私の意見だけではない。実際、他のコックも「こいつら・・・」と言っている。

料理学校の生徒だけあって、言うことはさすがにデカイ。
ただ現場が分かってないというか、学校レベルで仕事されたら困るんだよなぁって感じる。
他のコックが怒れば口答えするし、反論するし、反省しない。
コックだけじゃない、シェフが怒っても同じくだ。
イタリア人、老いも若きも自己中心派の塊。自分が1番な人達だから仕方ない。


★ たまには怒ってみよう


仕事中はもくもくと働くことが多い。しゃべれないから仕方無い。
しかしイタリア人はコレを疑問に思う。そして聞いてくる。
「怒ってるのか?」と。

ところが先日、ちょっと怒ってみた。

営業時間前に水を持ってくるのだが、前述の料理学校の生徒は、
飲んだら飲みっぱなしで片付けない。
何回かは黙認していたが、いい加減腹が立ったので、
「おまえが持ってきたんだから、片付けろ」と言った。

言われた本人はもちろんだが、シェフもソットシェフもびっくりしたようだ。
「日本人が怒ったぞ!」と。
結局その後はどうなったか?というと、言われた本人は何も変わらない。
一事が万事こうなのだ。ま、イタリア人だから仕方ない。

面白いのは、シェフとソットシェフのその後だ。
仕事が終わって後片付けをしてるときに私の名を呼び、
「ほら、この瓶は自分のだから、このようにちゃんと片付けるよ!」と確認をとる。

そう言えば、シラクーサのときも一回怒ったことがあった。
すると不思議なもので、ぐぐっと彼らとの距離が縮まった。

たまには怒ってみるのもいいのかも知れない。


★ きみら、あまり賢くないでしょ?


シラクーサにいたときに「ええっ?!」と思ったことが1度あった。
イタリアだとそんなもんなのかな・・・なんてその時は流していたのだが、
ここでも似たようなことがあったので書こうと思う。

まずはシラクーサでの出来事。

1人のホール係りが、一生懸命何かを考えている。
「携帯に計算機ついてる?」と聞いてきた。ついていたので、携帯を貸した。
なにやってんの?と聞くと・・・

例えばキロ20€の魚がある。
今、魚1匹が800gで、それを4人でシェアして食べたとする。
さて1人あたりいくらになるか、という計算をしていた。

答えは1人4€だ。
しかし彼の計算によると、これが何故か1人4,000€になる。
おかしい、おかしいと言って計算しているのだ。


さてここでの話し。

この時期はあちこちでセールをやっている。
そこで他のコックたちが昼休憩に服を買いに行った。

「この服、普通は40€なんだけど、それが70%引きなんだ!」
うんうん。
「で、3点買うと更に20%になるんだよ!」
うんうん。
「自分は1点、○○が2点買って3点になったから、安かったんだ!」
ほうほう。

ここまでは普通の会話だ。

「それでこの服、40€がたったの3€!90%引きになったんだよ!」
ふーん、それは安かったね~・・・えっ!?おかしいよ、90%引きじゃないでしょ?

その後レシートを持ち出して、半分言い合いになって。
仕事の時間になったので一時中止。
・・・したのだけど、仕事中も言い合ってた。
オマエはバカだ、いや、それはオマエだ、などと(笑。
結局仕事が終わってから決着をつけようという話になった。

詳しい説明は省くけど、彼が言いたかったことは分かった。
で、何故90%になるかということも分かった。
分かったけど、それを90%引きと解釈する意味が分からない。
支払ったのが3€だけなら分かるけど、実際の支払いは10€。
元値から見れば75%引きになる。

最終的に話はうやむやになったけれど、
話を聞いていた周りのコックたちも分かったんだか分かってないんだか。
当の本人も理解したのかどうか分からないけど、やっぱり90%引きにこだわっている。

これじゃあ来年の卒業は無理だね、と言ってあげた。
いやいや大丈夫だよ、と彼は言った。もしかすると数学は授業に無いのかも知れない。

バスの運転手やバールの店員など、たまにお釣りが多かったり計算間違いをする人がいる。
察するに、イタリア人は計算が苦手なのだろう。

「カスタードクリームやベシャメルソースを作るとき、材料の重さなんて量ったことないよ」
と彼らは自慢げに言う。
私は思う。
熟練してるから量らないのではない。
基本量の倍数計算が出来ないだけじゃないか、と。
by frutta_di_mare | 2009-08-04 07:11 | イタリア ミラノ・マリッティマ
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